
「キックボードは自転車と同じ扱いなの?」
「そもそもキックボードは公道で乗ってもいいの?」
キックボード(キックスクーター)は、自転車と同じように2輪で走行します。動力は自分の脚です。自転車と同じ扱いであれば、もちろん公道で乗っても問題ないでしょう。
しかし自転車とは違う扱いだったら? ネットで探しても、いまいちハッキリしたことが分かりません。そこで、キックボードの扱いや乗り方について、警視庁の交通相談に確認しました。
キックボードは軽車両か? 遊具か?
――キックボードは現在(2019年12月時点)の道路交通法で、軽車両ですか?
いえ、遊具(おもちゃ)です。
車道と歩道のどちらを走ればいいのか?
――車道と歩道のどちらを走ればいいのでしょうか?
キックボードは交通がひんぱんなところで使うことはできません。道路交通法でローラースケートなどと同じ扱いで、禁止行為というものがあります。「車道か歩道のどちらかを走りなさい」ということではありません。
道交法における禁止行為とは?
――どのような行為が、禁止行為にあたりますか?
交通(人通り)がひんぱんな場所で使う場合、その行為が禁止行為に該当します。交通量(人通り)の少ない夜間であれば禁止行為には当たりません。
禁止行為は5万円以下の罰金
なお、道路交通法第76条第4項第3号には「禁止行為」として、
「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」
と記されており、禁止行為を行った場合は5万以下の罰金が科せられます。
「交通のひんぱんな」状況とは?
――「交通のひんぱんな」とはどんな状況ですか?
たとえば都心部で千代田区とか中央区の場合、昼間はビジネスマンも多く、交通量も多いです。その時間は「ひんぱん」だといえます。
また、夜間はお住まいの方も少なく、仕事も終わられて閑散としだせば「ひんぱんではない」となります。そういった状況であれば、禁止行為には当たりません。
ただキックボードはタイヤが固く、走行時に音が出るものもあります。そういったときに、音に関して近所からの苦情が考えられます。
また夜間とはいえ、国道246号線のように夜間でもトラックやタクシーなどの交通量のある大通りであれば使えません。
夜間は歩道と車道どちらを走行すべきか?
――夜間、歩道も車道も「交通のひんぱんではない」状況だった場合はどちらを走行すればいいでしょうか?
その場合は、歩道を走ったほうが安全でしょう。ただし歩行者の妨害にならないように。車道を走るにしても、車から認識しづらい可能性も考えられます。やはり、安全性を考えて歩道を使ったほうがいいでしょう。ただ、夜間でも歩行者が多い中で乗れば禁止行為にあたります。
キックボードは歩行者扱い?
――キックボードは歩行者扱いですか?
道交法では、バイクを押している人、車椅子、ベビーカーは歩行者として定義づけられています。しかし、キックボードは道交法で歩行者と定義づけられていません。
キックボードは一般的には歩行者と考えるかもしれませんが、現段階では断定できません。
キックボードによる事故は交通事故?
――事故が起きた場合は、交通事故の扱いですか?
相手に怪我をさせた場合、交通事故で扱うかどうかは経緯や状況によって異なるでしょう。「これは遊具だから交通事故ではない」という判断になれば、道路交通法以外にも刑法で傷害事件となるかもしれません。
歩行者と同じ時速6km以下ということであれば「その程度の速度であれば歩行者」という判断になるかもしれませんし、「キックボードだから乗り物」という判断になるかもしれません。ケースバイケースです。
ライトの装備は義務?
――夜間走行をするときは、ライトの装備は義務ですか?
遊具なので義務ではありません。ただ、安全性を高めるということであれば、つけたほうがいいでしょう。
問い合わせ内容のまとめ
また今回、お話をうかがった警視庁の交通相談の方は、
道交法の禁止行為ができた段階で「おもちゃ=子供が使う」だったので、大人がおもちゃを使うことを想定して作られていないんです。
ともおっしゃっていました。

キックボードはあくまでも遊具。状況によって使っていいかどうかの判断が難しい場面もあると思います。そういうときは降りて押すか、折りたたんで運ぶほうが無難かもしれません。
いずれにせよ、キックボードで遊ぶときは周囲の安全に配慮して遊ぶようにしてください。